早戸大滝(神奈川県)

まえがき

2015/4/25 訪問。
行きたくてもなかなか行こう!と勢いがつかなかった丹沢の名瀑「早戸大滝」へ向かった。
今回は比較的十分な準備をしたので、備忘を兼ねて書いておく。

  • 工程概略 自宅(千葉県流山市)出発(5:30)⇒魚止め橋(8:31)⇒林道終点の伝道入口(08:42)⇒木の橋/はしごを経て山歩き⇒造林小屋(08:55)⇒沢に降りて渡渉⇒雷平/早戸大滝方面分岐(9:30頃)⇒本流から早戸大滝発見(10:26)⇒早戸大滝最下段(10:34)⇒<<滝壺新道>>⇒早戸大滝最上段(10:48)
    ⇒雷平/早戸大滝方面分岐(12:18)⇒魚止め橋(13:20頃)

事前準備

なかなか行こう!と思えなかったのは下記の要素だ。

  • 常に開いているのか不確定なゲート
  • 渡渉(川渡り)
  • ヤマビル
ゲート

↑不安要素の一つであったゲート。訪問時は開いていたし、閉じたという報告はあまり聞いたことがない。

1つ目のゲートは、閉じていた場合、片道約1時間程度、多く歩く必要がある。
ただ、閉じていても大丈夫なように早めに現地につく以外に方法がないので、これは諦めた。
また、HPで調べた限りでは、閉じていたという報告が見当たらなかったので、あまり心配しなかったのも確かだ。
問題は残り2つだ。


渡渉(川渡り)

早戸大滝への道は、早戸川を河原までおりた後は、ひたすら上流に向かって歩くというイメージになる。
定まったルートというものは存在せず、必要に応じて対岸への渡渉が必要となる。
ポイントポイントで偉大な先人がリボンやテープでマーキングしてくれているので、
道に迷うことはないのだが、川渡りは避ける事ができない。
膝くらいの渡渉を想定して、長靴の購入を検討した。

山歩き+渡渉兼用で長靴1本で行くか、
登山靴でスタートして、必要に応じて長靴に履き替えるということを検討したが、
結局、よい長靴に出会うことができず、購入は断念。
比較的滑りにくいクロックスを非常用に携帯して、登山靴で行くことにした。

結果的に申し上げると、登山靴のみでジャブジャブ渡渉して、クロックスは使用しなかった。
理由は登山靴をイチイチ履き替えることで、体力を消耗するからだ。
渡渉は細かいものを含めれば7-10回程度したが、不安定な川底でも素足を守って安定できるため、
気温がイタズラに低い冬季じゃなければ、その決断が最も正しいと思われる。

また、ずっと長靴という手もあるが、
はしごを使うような場面や、ロープで崖を登るなどの場所があり、明らかに登山靴でなければならない場面に遭遇した。
慣れていない人が長靴を履いて長時間歩くのは披露もたまりやすいだろうし、その点では登山靴のまま渡渉!がベストの判断と思った。

ヤマビル対策

ヒルは外見がナメクジのような吸血性物で、湿気の多い日陰や木の枝に取り付いて、
人の足や首筋に取り付いて、吸血する。
吸血時にヒルジンという毒素の影響で、血の凝固が阻害されて血がとまりづらくなるという良くない害虫だ。
吸血以外に特に死にはしないのだが、一度宮崎県の祇園滝訪問時に猛攻撃をうけてから、ヒルは私にとって天敵以外の何者でもないのだ。

結論から言うとヒルが出そうな場所に行くな、以外に対策は無いようで、
下記対策が功を奏したのか、ヒルの被害はなかった。
今回とったポイントを備忘でまとめる。=

  • ヒルに対する知識をつける
    いろんなHPがあるので、そこを参考にさせてもらうのが一番。敵を知らなければ何もできない。
    早戸大滝のある神奈川県もこのようなマニュアルをまとめているので、是非参考にした方がいい。


  • ヒル被害の多発時期を避ける
    5月-10月末はヒルの被害発生が増えるため、この時期はなんとしても避けたかった。
    3月に行きたかったが、週末は天候不順が続き、おそらくこの条件を満たす最後のチャンスだった。


  • 晴天が続いた時期をねらう
    雨上がりにめちゃくちゃに多発するため、天気予報は注意深くチェックした。
    少なくとも数日の晴れ間が続き、当日も快晴のタイミングを今回は狙った。


  • 衣服に注意する
    ヒルは炭酸ガス、光の動き、振動、体温などを検知して人間に襲いかかるらしいため、
    なるべく肌を露出しない衣服を着る。
    70%の侵入経路と言われる足元は、かかとまである登山靴と厚手の登山用靴下を装備する。
    ズボンの裾は伸ばして、靴下の下にするイメージだ。
    首筋にタオルを巻いて素肌が見えないようにする。
    帽子をかぶって上から直接頭に落ちないようにする。
    などの対応は、最低限度必要だ。

    これに加えて次の禁忌剤の対応を取る。


  • (ヒルがつかないために)禁忌剤を衣服に塗る
    市販されている禁忌剤を下記に塗った。ちなみに購入したのは「ヒルさがりのジョニー」だ。
    • 帽子
    • 服(袖口、襟元)
    • 首に巻くタオル(全体)
    • ズボン(袖口)
    • 靴下(表面全体)
    • 靴(表面全体)
      注意点は、この薬品の匂いが結構気になる。
      「ディート」という成分の影響かも知れないが、家の中で吹き付けるのはやめた方がいい。
      外で吹き付けて、家の中に持ち込んだだけで匂いがしばらくこもったくらいだ。
      前の日に吹きつけて、外で乾かすのがいいだろう。


  • (とりつかれた後を想定して)食塩水を携行
    本当は、消毒用エタノールが欲しかったのだが、入手が間に合わなかったので、
    20%食塩水を100均で購入したスプレー瓶に入れて携行した。
    本当の非常用だ。


  • 定期的にヒルがついていないかチェックする
    今回のルートでは、造林小屋を過ぎた辺りからは沢伝いのルートになり、湿気の多いエリアがずっと続くので5-10分毎くらいに足元を見る方がよい。
    いた場合は、エタノールや食塩水で攻撃だ!!
    複数人行動の場合、前の人の足や首もとをチェックしてあげるなどの定期チェックをすればいいだろう。



車を駐めるまで

↑地図


carrozzeriaのサイバーナビなら日本の滝百選は登録されているので、その経路に沿って行けばOKだった。
それ以外の人は、宮ヶ瀬湖から早戸川上流にある「早戸川国際マス釣り場」(TEL:042-785-0704)を目印に向かうのがいいだろう。
この「早戸川国際マス釣り場」は、相模湖を過ぎた辺りから、案内の看板も多く、迷うことがないだろう。
早戸大滝へは、この「早戸川国際マス釣り場」を更に億に林道を登って行くことになる。
林道は徐々に幅が狭くなり、単純な対向は困難になるが、注意していけば問題ない。
ただ、ところどころ道が悪くなっており、小岩が転がっているので余り速度を出さない方がいいだろう。
特にここではじめてタイヤをパンクさせてしまい、かなり困る自体になった。
路面は注意だ。

魚止め橋

↑林道終点の魚止め橋。
この後は、車止めがあり進むことはできない。
この手前の路肩に車を駐車だ。


車を駐めてから早戸大滝まで

車を駐めてここからは徒歩で進む
この時の装備は下記の感じ

  • ヒル禁忌剤を塗った下記装備
    • 登山用の長袖/ズボン(長ズボン)
    • 登山用の靴、靴下(厚め)
    • 軍手
    • 帽子
    • 首に巻くタオル(ヒル避け)
  • 登山用杖・・・渡渉時の水深計測に役に立った
  • マスク・・・炭酸ガス拡散抑制
  • タオル(濡れないようにビニールに入れておく)
  • 日帰りレベルのリュック。中身は下記の通り
    • 水筒
    • 食料(昼ごはん+お菓子少々)
    • ミラーレス
    • タオル
    • 地図(山と高原の地図「丹沢」)
    • 早戸大滝を写したHPの印刷物(にじまないようにレーザープリンタで出力)
    • クロックス・・・渡渉時に使用を想定。。。ただし、使わなかった。後悔!!
伝道入口

↑伝道入口

概略地図

↑地図。これは役に立つ。
訪問時は丸太橋⇒ない!という力強い悲しい情報が....

造林小屋

↑上の場所から本格的に山道に。
注意してみると入口にスプレーで矢印が...

早戸川渓流

↑最初の渡渉
(濡れなかったのはここくらい。後はジャプジャプ....)

造林小屋

↑造林小屋

最初の渡渉から少し山道を歩く

↑木の橋。
消して踏み抜きたくない。
このような橋は幾つか続く。
この橋を準備してくれた偉大な先人に感謝!!

中にははしご+金属の小さい足掛けのような怖い場所もあるが、慎重に進む。

最初の渡渉から少し山道を歩く

↑高台から早戸川。見事な渓流
勢いがあり、正直恐怖を感じる。
この後、崖をロープを頼りに沢まで降りて、渡渉...。
この後は、雷平と早戸大滝の分岐へ。

1時間程度歩き、雷平と早戸大滝の分岐ポイントへ

↑雷平分岐
雷平方面へ向かう人は、右岸に渡渉してそのまま上流へ。
話によると分岐から15分程度で雷滝に到着とのこと。
早戸大滝へは、向かって左の流れに向かって上流を目指す。

緩やかだが何度か渡渉を繰り返し早戸川上流へ向かう

↑河原
大小の岩がゴロゴロする河原を上流に向かって進んでいく。
片側が安定していることはないので、都度渡渉を繰り返す。
早戸大滝が見えるまでは、「これに名前がないのか!?」というような見事な滝も現れるが、
下流から上流に向かって見える滝は「早戸大滝」ではない。
少し通りすぎて、左後ろを振り返って上段が見えるのがそうなのだ。
分岐から30分くらい登ると、そのポイントへ着く。
ひたすら、河原を歩くのだ!!

早戸大滝

早戸大滝

↑早戸大滝(本流から)

早戸大滝

↑早戸大滝

滝壺新道へ、急勾配を登る

↑向かって左側にロープがあり、急峻な崖を登っていく。
この後は黄色いテープが有り、"滝壺新道"としてルートが作られている。

早戸大滝

↑早戸大滝(ロープを頼りに崖を登った直後)

滝壺新道より

↑崖登りに続き一番の難所。
わかりづらいが、このロープの両端の枝は体重をかけるにはあまりにも心もとない...。
しかも足場がとても柔らかい状態で、距離もある。
しくじると崖を真っ逆さま...
要注意だ!!

早戸大滝

↑早戸大滝(中段)
最下段からは見えなかった中段が見下ろせる。

早戸大滝

↑早戸大滝
中段瀑を巻いた直後。
手前の巨岩が邪魔して全く最上段が見えない。
この後、滝壺に近づいて手前の岩の脇にでると最上段が姿をあらわす。

早戸大滝

↑早戸大滝(最上段)

早戸大滝

↑早戸大滝(最上段)

早戸大滝

↑早戸大滝(最上段)

↑早戸大滝(動画)

早戸大滝

神奈川県にある日本の滝百選。
早戸川上流に落ちる、別名「まぼろしの滝」。
その通称には納得。
途中の工程の長さ、滝の全身を見るのに崖を登ったりしないといけなかったり...。
ただ、その特徴的な最上段は、日本の滝百選に選ばれてしかるべき名瀑だと感じた。
訪問時は他に誰もおらず、滝を独占できた。
渡渉で冷えきった体に、最上段では飛沫と瀑風が吹き付けて体温が奪われていく。

この後、残念ながら天候が崩れたため「雷滝」は立ち寄れなかったが、
久しぶりに最高の名瀑に出会うことができた。素晴らしい1日だった。




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Last-modified: 2016-07-12 (火) 23:08:02